業界トピックス

企業知財部のキャリアについて

目次
  • 1.企業知財部の業務内容

  • 2.キャリアパスのモデル

  • 3.転職エージェントからのアドバイス

  • 企業の知的財産部門に勤めると、どのようなキャリアを進むのでしょうか?一般的に、新入時から退職時まで企業の知財部に勤め続ける人はほとんどいません。研究開発部門から知財部に異動する人や、特許事務所に転職する人など、様々なキャリアパスがあります。

    そこで今回は、企業知財部のキャリアプランについてについて転職エージェントが解説します。知財業界でのキャリアアップを目指す人は、ぜひ参考にしてください。

  • 1.企業知財部の業務内容

  • 「知財部」と一言でいっても、会社によって規模は様々です。一般的な規模は20〜30名ほどですが、大手グローバル企業の中には、知財部だけで100名を超えることもあります。

    知財部で扱う業務は、多岐にわたります。代表的なものは下記のとおりです。

    ①発明の発掘

    研究者や開発者と打ち合わせを行い、特許になりそうな発明を見つけ出します。出願できそうな技術があれば、権利化に向けて手続きを進めます。

    ②先行技術調査

    特許出願をする前に、既に同じ技術が出願されていないかをリサーチします。

    ③特許明細書の作成

    特許事務所と連携して、特許庁に提出する明細書を作成します。最近は内製化を進めている企業が増えており、社内で全ての手続きを行います。

    ④拒絶理由通知対応

    特許庁から拒絶理由通知が届いた場合、拒絶理由を精査したうえで、意見書や補正書を作成します。

    ⑤他社の侵害品の調査、訴訟対応

    他社が自社の特許を侵害していないかについて調査します。侵害の疑いがある場合は、警告書を送付したうえで、損害賠償やライセンス契約について交渉を行います。交渉がまとまらない場合には、訴訟提起に備えて準備を進めます。

    ⑥他社からの侵害警告への対応、訴訟対応

    他社から特許侵害の警告書を受け取った場合、速やかな対応が必要となります。相手方の特許が有効かどうかを調査したうえで、「自社製品が本当に相手特許を侵害しているのか」について技術的な検討を行います。相手企業が訴訟を視野に入れている場合は、弁護士と連携して対応を進めます。

    ⑦特許以外の知的財産業務

    企業の知財部では特許関連の業務が中心となりますが、商標、意匠、実用新案、著作権に関する業務を担当することもあります。商標や意匠の出願手続きや、著作権の管理やライセンス契約など、幅広い業務があります。

    ⑧知財戦略、マネタイズ

    知財ファイナンスや知財ライセンシングなど、企業が保有する知的財産権をどのように活用すべきかについて戦略を練ります。

  • 2.キャリアパスのモデル

  • 知財は専門職であるため、スキルを磨けば多様なキャリアパスが開けます。一般的なキャリアパスは、下記のようなケースです。

    キャリアパスの例① 企業内でスキルを磨いてキャリアアップする

    理系の大学・大学院を卒業した後、企業の研究開発部門で研究者や開発者として勤務します。知財関連の業務が多いため、知財に興味を持つようになり、弁理士資格取得を目指し、仕事と両立しながら勉強に取り組みます。

    晴れて弁理士資格を取得したら、異動願いを出して知的財産部に異動します。自社製品の技術内容を熟知しているため、これまでのキャリアを活かして知財部でも活躍できます。知財部で幅広い業務に従事し、そのままマネジメントポジションを目指します。

    キャリアパスの例② 特許事務所から企業に転職する

    理系の大学・大学院を卒業後、特許事務所に就職します。特許事務所では出願業務を担当しながら、弁理士試験合格を目指して仕事と両立しながら勉強に取り組みます。

    弁理士資格取得後は、特許出願以外の幅広い業務に取り組むために、企業に転職します。転職後は知的財産部に配属され、発明の発掘、先行技術調査など、権利化に向けた業務を担当します。場合によっては、特許訴訟や特許戦略に関わることもあります。その後は転職を通して、スキルアップを目指します。

    当社の転職エージェントを使って特許事務所から企業への転職に成功した方も多数いらっしゃいます。転職に成功した方の体験談は、「転職成功事例_特許事務所から大手メーカーへの転職に成功(※1)」で紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。

    キャリアパスの例③ 企業から特許事務所に転職する 

    企業の研究開発部門に勤務しながら、仕事と両立しながら弁理士資格取得を目指します。合格した後は、特許事務所に転職し、主に中間処理業務に従事します。そのまま事務所に在籍し、パートナー弁理士となる方もいます。

    キャリアパスの例④ 特許庁でのキャリアを積む

    企業の研究開発部門や知的財産部で実務経験を積んだ後、特許庁に入庁します。特許庁では、任期付職員(特許審査官(補))として審査業務を担当します。通常の任期は5年ですが、更新(再採用)を希望すると、最長10年間勤務することができます。任期満了後は、企業の研究開発部門や知財部に戻ります。特許庁でのキャリアを生かして、特許事務所に転職する人もいます。

  • 3.転職エージェントからのアドバイス

  • 今回は、「企業知財部のキャリアパス」について解説しました。

    企業の知財部では、「最先端の技術に関わることができる」という魅力があります。「新しい技術がどのような形となって世に出ていくのか」を間近で見ることができるため、物づくりが好きな人や知的好奇心が旺盛な人に向いている仕事です。知財部を抱える企業は海外展開をしていることが多いため、英語の文献を読み解くスキルが求められます。語学力が高い人は知財分野の転職で優遇されますので、知財分野での転職をお考えの人は語学スキルを磨くことがお奨めです。

    C&Rリーガル・エージェンシー社では、知財分野に強みを持つ転職エージェントとして、企業の知財部の求人も多数取り扱っています。知財分野での転職をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

  • 記事提供ライター

  • 元弁護士 ライター
    東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引などのビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演をおこなう。

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