業界トピックス

法務部員の給与の実態は?キャリアプランと共に実態を紹介

目次
  • 1.キャリア別の年収の相場

  • 1-1. 若手法務スタッフ

  • 1-2. 中堅スタッフ(法務経験5〜10年)

  • 1-3. 課長クラス

  • 1-4. 部長クラス

  • 2. まとめ

  • 理想の転職先を見つけるためには、仕事のやりがいや人間関係も大事ですが、やはり気になるのは「転職するとどれくらいの給与がもらえるのか」ではないでしょうか?「転職するからには給与をアップしたい」という人も多いかもしれません。それでは、法務部員として働く人は、一体どれくらいの給与をもらっているのでしょうかか?

    今回は、株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社で取り扱った求人データをもとに、法務部員の給与の実態を紹介します。年齢別のキャリアプランとともに紹介していますので、ご自身のキャリアプランを考える参考にしてください。

  • 1.キャリア別の年収の相場

  • 一般的な企業の法務部では、役職によって給与が決まります。それでは、役職ごとの給与を見ていきましょう。

  • 1-1. 若手法務スタッフ

  • 20代の若手法務スタッフの場合は、経験値によって大きな差が出ることはありません。ただし、会社の規模や業界に応じて開きがあります。全体的な給与の相場はおよそ350万円 ~ 500万円であり、外資系や金融、大手商社は給与が高い傾向にあります。資格手当てを設けている会社では、同じ法務部員であっても、資格の有無によって給与に差が出ます。

    初任給が同等であっても、昇給制度の違いによって20代のうちに給与の差が開くことがあります。一般的な企業では、昇給の機会は年一回ですが、業績の良いベンチャー企業は、半期に一度の昇給の機会を設けており、昇給額の幅も大きく設けています。賞与が業績と連動する会社では、年度によって年収がアップダウンすることがあり、必ずしも年令とともに給与がアップするとは限りません。

    一概には言えませんが、給与が高い会社は残業が多い傾向があります。20代で転職する場合には、長期的なライフプランを視野に入れて、年収アップにこだわるのかワークライフバランスを重視するのかをよく考えたうえで、応募企業を選びましょう。
    ※1(参考リンク)

  • 1-2. 中堅スタッフ(法務経験5〜10年)

  • 中堅クラスのスタッフになると、経験値の違いによって年収に差が出ます。ビジネス英語が使えるか、プロジェクトを取り仕切った経験があるか、大型取り引きに関わった経験があるか、海外駐在経験があるかなどによって、年収に開きが出ます。語学力が高い人は、海外M&Aや特許出願などの専門性の高い業務を担当できるため、給与が高くなる傾向があります。

    法務経験が5〜10年になると、主任や責任者などのポジションを任せられるようになり、責任感に応じて給与の相場も450万円〜800万円に上がります。年功序列による年収アップだけでなく、役職手当や家族の扶養手当、単身赴任手当などによっても給与が上がります。

    同じ法務部員であっても、専門性によって給与に差が出ることがあります。例えば、法務部の中でも特に知財部門に配属された場合は、他部門よりも給与が高くなることがあります。企業の規模にもよりますが、製薬会社や大手メーカー、ソフトウェア開発を手がけるIT企業は知財戦略に力を入れていることが多く、このような知財部の給与は他部門よりも高い傾向があります。国際特許を扱う場合には、さらに高額な年収が見込まれます。

    転職をするうえでも、これまで身に付けた専門性によって給与が決まります。企業はまず第一に即戦力を求めていますので、内定後にオファーされる給与は、法務部員としての経験値の高さに応じてアップします。採用後のオファー金額を上げるためには、まずは職務経歴書でご自身のスキルをしっかりとアピールしましょう。
    ※2(参考リンク)

    中堅クラスの転職市場では、結婚・出産・子育ての経験者が多く、ライフワークバランスを重視する人が多いという特徴があります。このような場合は、給与の金額だけでなく、福利厚生や有給の取りやすさ、職場の雰囲気、管理職の男女比率などを総合的にチェックして、ご自身の希望に合った職場を選びましょう。

  • 1-3. 課長クラス

  • 企業によって異なりますが、実務経験が10年以上になると、管理職の道がひらけます。管理職になると給与の相場はおよそ750万円 ~ 1,200万円となり、年収1,000万円の大台に乗る人も増えます。年功序列を重視する大手企業や老舗企業では、管理職になった段階で大きく年収がアップすることがあります。ただし、裁量労働制となり残業代がつかなくなるため、管理職になった年度に年収が下がる人もいます。

    管理職になると、法務部での実務経験にプラスして、「マネジメント能力があるか」という点が重視されます。転職の場においても、現場でのマネジメント経験が重視されます。取締役会や株主総会などの機関法務を主導した経験や、企業コンプライアンスや訴訟対応をマネジメントした経験がある場合は、管理職候補の人材として評価が高くなります。

  • 1-4. 部長クラス

  • 法務部長などの責任感のあるポジションになると、企業の規模によって給与の差が大きくなります。一般的に、大企業や外資系企業では部長クラスの給与が高く、2,000万円以上の給与を得ている人もいます。全体的な給与の相場は、およそ800万円 ~ 1,500万円です。部長クラスになると、出来高によって給与が変動することはなく、比較的安定した給与を受け取ることができます。会社によっては総務部長との兼任となり、このような場合は「総務法務部長」という肩書きになります。

    部長候補の転職では、法務業務全般の実務経験が求められると共に、組織マネジメント経験が必須とされます。特に、同業種の法務部でのマネジメント経験がある場合は、即戦力として優遇されます。

  • 2. まとめ

  • 法務部員の給与は、企業の規模や業種によって異なります。今回紹介した給与の相場は、あくまで一般的なデータです。ご自身の実務経験が応募企業のニーズに合致していれば、上記で紹介した以上の給与を得るチャンスがあります。転職によってどれくらいの給与を得ることができるかは、ご自身の戦略次第です。職務経歴書の書き方や面接でのアピールの仕方によっても、オファー金額は変わります。ご自身の状況に応じたアドバイスを聞きたいという方は、一度転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

    株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社では、法務業界に精通した専任エージェントとして、数多くの法務求人を取り扱っています。法務部の転職についてお悩みの方は、どうぞご安心してご相談ください。

  • 記事提供ライター

  • 元弁護士 ライター
    東京大学卒業後、2009年に司法試験に合格。弁護士として知的財産業務、企業取引等のビジネス関連の業務を扱う。現在は海外に在住し、法律関連の執筆や講演を行う。

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